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全5回
学ぶこと
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明治時代に西洋から輸入した学校教育は、学問と技芸が未分化であった江戸時代の学問のあり方を否定し、その結果技芸に対しての興味関心度を下げ、あるいは一段下等に見る傾向をもたらしました。
近年は、そうした技芸の歴史にも注目するようになってきていますが、今度は学問と切り離してしまっているため、なぜそのような現象が起きたかについて、説明不足に至っています。
江戸時代の園芸文化は、温室や飾り方など技芸を含むことはもちろんのこと、この技芸が同時代の学問思想、特に動・植・鉱物といった自然物を研究する本草学と深く関わり、互いに影響を与えていきました。
本講座では、このような江戸の園芸文化と本草学との密接な関係を探り、江戸時代の園芸文化の具体的な様相を見ていきます。
第1回 本草学と園芸―本草学者の採集旅行記「採薬記」― 4月21日(金)18:30~20:00
江戸時代中期、享保・元文年間(1716‐40)、8代将軍吉宗は、諸国に薬を求めて「採薬使」を派遣させ、その復命書「採薬記」を提出させます。そのひとつ『諸州採薬記』は、諸国の採取品だけでなく、その土地の風景・奇談をも収録したもので、のちに『本朝奇跡談』として刊行され、国別の名所記的内容を帯びたものとなりました。
また別の採薬記『採薬使記』に記載された岡山産の朝顔は、平賀源内が企画した江戸における薬品会に出品され、江戸時代後期に流行した変化朝顔のきっかけとなったと考えられます。
今回は、園芸と密接な関係がある、本草学上の「採薬」について具体的にみていきます。
第2回 大名庭園における園芸と本草 5月19日(金)18:30~20:00
今回は、遊芸としての園芸を行った大名と、学問としての園芸を遂行した大名2名を取り上げて比較していきます。
一人目は、大和郡山藩2代藩主・柳沢信鴻(のぶとき)で、江戸時代中期、安永2年(1773)から天明5年(1785)までに記された『宴遊日記』を通して、大名庭園における園芸の諸相をひもといていきます。
二人目は、江戸時代後期の本草大名として著名な越中富山藩8代藩主・前田利保で、本草学者としての活動を、園芸の側面からとらえるという新たな視点でみていくことで、江戸時代の学芸のあり方について一石を投じます。
第3回 江戸時代中後期の園芸文化 鉢植栽培と温室の歴史 6月16日(金)18:30~20:00
植木鉢は、江戸中期、十八世紀中ごろから都市部において出土しています。
江戸時代後期になると、浮世絵には青と白の鮮やかなコントラストを持つ陶製の植木鉢に植えられたさまざまな植物が描かれるようになりました。
今回は、地面に植える地植えや花壇植えから植木鉢による栽培が開始されたことで、どのような利点があったのか技術面での変化をみていきます。また、植木鉢による栽培が促進されたことで、それを保管する温室の歴史についても触れ、最後に、明治期に盛んとなる盆栽との違いについても解説します。
第4回 江戸時代後期の園芸文化 変化朝顔と奇品(きひん)の流行 7月21日(金)18:30~20:00
江戸時代後期に、江戸・大坂・名古屋を中心として、葉や花が通常と異なる変化朝顔の栽培が流行し、品評会が行われました。
第1次流行期は、文化・文政年間(1804-1830)に、第2次流行期は、嘉永・安政年間(1848-1860)に訪れました。
今回は、変化朝顔の流行の様相を、品評会の図譜や番付、また浮世絵からみていきます。
加えて、園芸文化でもてはやされる「奇品(きひん)」の概念についても、具体的に松葉蘭の図譜や栽培記録などから探り、奢侈品として認識され禁止されていった世相についても解説します。
第5回 江戸時代後期の園芸文化 菊細工流行と出版文化 8月18日(金)18:30~20:00
江戸時代後期の天保15年(1844)年、江戸郊外の巣鴨・駒込村の植木屋において、菊を素材として象などの動物や富士山などの造形物を形作ることが流行しました。既に文化・文政年間にも流行し、一時のブームとして廃れていましたが、2度目の流行であるこの菊細工は、明治時代まで存続し、団子坂の菊人形として発達していきました。
今回は、菊細工の番付の様々な形態を紹介し、天保の改革を経たのちの出版文化の一例として位置付けていきます。
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こんな方へおすすめ
- 植物が好きな方
- 園芸・ガーデニングが趣味の方
- 江戸時代の風俗や文化に興味がある方
- 日本の歴史や文化に興味がある方
講座概要
日時
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- 筆記用具
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受講料
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